2020 受賞作品

【アッシュコンセプト デザインコンペティション
2020 結果発表】

テーマ

ひとめ惚れ

はじめて会った途端にこころが奪われる。
美しさや佇まい、気遣いや優しさ、ユーモアや思いやりなど惹かれるポイントは様々です。
モノとの出会いにも、形や機能、アイデアやバックストーリーなど様々な要素で思わず惚れ惚れとしてしまう出会いがあるはずです。
そんな「ひとめ惚れ」してしまう生活用品のデザインを募集。

全362点から選ばれた最優秀賞1作品、優秀賞2作品を製品化し、
2021年11月4日に発売いたしました。

最優秀賞

Gulliver Frame

3MON
熊谷 英之

3歳の息子が初めて手にした虫眼鏡で、いろんなものを覗き込んで楽しんでいるのを見て、自分でも久しぶりに虫眼鏡を覗き込んでみたら意外と楽しく、「これだ!」と思いました。どこかに仕舞われがちな、お気に入りの小物などを大きく飾るのはもちろん、何でもないものでも大きくすることで、ものへの思いも大きくなれば良いなと思います。

講評

家時間が増えて、生活空間を見直した方も多いのではないでしょうか。断捨離を乗り越えて残るのは自分にとって大事なもの。そんなお気に入りに改めてひとめ惚れしてしまう、そんなきっかけを与えてくれる素敵なデザインです。

株式会社JDN
取締役
山崎 泰

あ、可愛い!ついひとめ惚れして集めてしまう小さなモノたち。でもいつしかぞんざいな扱いに。こんな拡大鏡があれば、あの日の気持ち・場所・空気・・・いろんなことをデッカクして思い出させてくれるはず!と、またひとめ惚れして買っちゃいそう。通常かざして使うルーペを垂直にデザインしたことも新鮮。

株式会社LOFT
MoMA事業部
ブランディング&クリエイティブディレクター
山下 ひろみ

モノそのものに近寄り拡大してみる好奇心をひとめぼれと言うのか、そのものにひとめぼれすることでなくひとめぼれしたものを拡大する心の状況をデザインされた気がしました。またその拡大鏡自身も従来のハンドルのある造形性でなく、シンプルな中にインテリア性を感じさせる表現が好感を持ちました。近くに拡大鏡があると便利な時に、しまい込まないインテリアオブジェとして存在する造形の美しさを感じました。

アッシュコンセプト
代表取締役 デザインプロデューサー
名児耶 秀美

優秀賞

Beaver Dumbbell

ドーグスデザイン
中島 保久
中島 麻友子 

ビーバーが直径約15cm の木をかじり倒すのにかかる時間は約10 分。ビーバーががんばるのと同 じ10 分間に想いを馳せながら穏やかな気持ちで気負わずにエクササイズを重ね、永く使っていた だけたら嬉しいです。

講評

ビーバーがかじった木の痕跡をモチーフにする発想そのものに斬新さはありませんが、ダンベルを使ってビーバーのように勤勉にトレーニングする人間の微笑ましい姿が連想できました。使い込むうちにかじり跡はすり減ってなめらかになり、握り続けた手の汗で木の風合いも増すでしょう。ぜひ木製品として完成させてほしいデザインです。

デザインジャーナリスト
高橋 美礼

ひとめ惚れは、直感。”ダンベル=鉄アレー・マッチョ”だけどこちらは正反対。”飾れるダンベル” 優しい暮らしにナチュラルなオブジェ的に溶け込む。ゴツゴツしたくびれは持ち易そうでビーバーの歯形という設定も情緒あり。手垢がついたら頑張ったしるし。重量設定は限界がありそうなのでワークアウト初心者向け。

株式会社LOFT
MoMA事業部 
ブランディング&クリエイティブディレクター
山下 ひろみ

優秀賞

Kinome

wah
八田 興 
脇坂 政高

このフィルターは、日々の暮らしに小さな芽との出会いを提供します。煩わしくなりがちなドリップ式のコーヒーでも、新しく芽吹いた命に出会い、愛でるような気持ちになることで、いつもの日常を楽しく、そして少しだけ美味しくしてくれるかも しれません。このフィルターを通して、皆さんに少しでも前向きな気持ちを与えられたら幸いです。

講評

自然の新しい恵にゆっくりとゆっくりと丁寧に感謝しながら、朝を迎える。そんな日常をみんなが過ごせたら、きっと微笑みあふれる毎日になるに違いない。そんな温かな視点も持つデザインをこれからも応援したい。

株式会社MIRACLE
代表取締役 クリエイティブディレクター
中岡 美奈子

新芽を慈しんで水をあげる行為と、丁寧にコーヒーを淹れる行為に共通項を見出したことになるほどと思いました。喫茶店でアルバイトをした時にドリップの方法を教わりました。「の」の字を書いて何度かに分けてお湯を注ぐのですが、「の」を書き始める良い目印にもなりますね。

株式会社JDN
取締役
山崎 泰

審査員特別賞 (6点)

高橋美礼賞

作品名:Mask Parachute

受賞者:オクノテ  清水 覚

中岡美奈子賞

作品名:AMI BLOCKS

受賞者:原田 真之介・薄上 紘太郎・鈴木 僚

山崎泰賞

作品名:Treasure hunting

受賞者:nin nin  迫 健太郎・迫 穂奈美

山下ひろみ賞

作品名:Gumnet

受賞者:秋山 健二

名児耶秀美賞

作品名:trio

受賞者:武内 佳音

下川一哉賞

作品名:カレイドグラス

受賞者:W DESIGN  渡辺 純子・渡辺 千紘

総評

誰にも予測できなかった感染症が世界規模で蔓延し、日常生活で優先されることやもの、価値観が大きく変化するなかで、新しく生み出されるデザインには、それなりの責任が必要だと思います。その点において、今回のテーマ「ひとめぼれ」にふさわしいような直感的な魅力が、発揮されづらい状況にあったかもしれません。応募作品はいずれも、よく整ったアウトプットで、強いメッセージ性は伝わってくるものの、造形的に突出した個性という部分には、物足りない印象が残りました。
最優秀賞をはじめ各賞を受賞したみなさま、おめでとうございます。商品化の機会に恵まれた際には、これからの生活を明るくする存在感を追求してください。

デザインジャーナリスト
高橋美礼

みなさんのアイデアたちに触れて、審査を終えた時は清々しさがありました。それぞれの視点で日常を豊かにしていきたいというみなさんの真っ直ぐな気持ちが、会場に溢れていたからです。
受賞以外の作品の中でも、もう少しつめられたら、もしかしてと思う惜しいアイデアがいくつかありました。また、伝えたい情報を視覚的にフォーカスされたプレゼン書のグラフィックも審査の大事なポイントとなりました。
ぜひこれからも頑張ってください。またどこかでみなさんの作品にお会いできることを楽しみにしています。

株式会社MIRACLE
代表取締役 クリエイティブディレクター
中岡美奈子

デザインの質が高くなった昨今、どの作品もプレゼンの仕方からアイデアと素晴らしいものが大変多く選ぶことに苦労しました。また全体のレベルが高いからこそ、その中でとびぬけた発想というものが逆になかった気もしました。現在あるモノの焼き直しデザインでなく、心をわしづかみするようなものに出会いたかった…ことも残念に感じます。アッシュコンセプトだからゆえにこんな世の中にないものを作ってみろという挑戦的なものにも会いたかった気がします。それだけ、デザイナーの本質が優しいことにも気づかされました。

アッシュコンセプト
代表取締役 デザインプロデューサー
名児耶 秀美

審査員

審査会進行役

Mirei Takahashi

高橋美礼

デザイン
ジャーナリスト

judge2020-nakkaoka

中岡美奈子

MIRACLE
代表取締役
クリエイティブディレクター

judge2020-yamazaki

山崎泰

JDN
取締役

judge2020-yamashita

山下ひろみ

LOFT
MoMA事業部
ブランディング&クリエイティブディレクター

judge2020-nagoya

名児耶秀美

アッシュコンセプト
代表取締役
デザイン
プロデューサー

審査会進行役

judge2020-shimokawa

下川 一哉

意と匠研究所
代表取締役
デザイン
プロデューサー
ジャーナリスト