受賞作品

【アッシュコンセプト デザインコンペティション 結果発表】

テーマ

暮らしを楽しくする 彩りを添えるような生活用品

最優秀賞

pinwheel pin

阿津 侑三

風車の形状をした画鋲です。日常の中にふと現れる小さな風車が回る姿は、日常を優しく包み込んでくれると思い制作しました。壁に風が吹いた時や、息を吹きかけてあげることで、クルクルカタカタと回ります。

講評

風車 日本の昔から存在する不変の形を現代の生活用品のプッシュピンに重ね合わせる発想というところに心が動かされました。大事なメモの上でくるくると・・・いつもの暮らしに楽しさと彩が添えられること間違いなしですね。何千という数が壁にくるくるする姿も素敵に感じます。展示映えしそうです。

 

アッシュコンセプト代表取締役
デザインプロデューサー
名児耶 秀美

優秀賞

Net

井藤 成美

井藤 成美

農業用棒ネットの特徴である様々な野菜や果物を入れるための強度と伸縮性、中の食べ物をより美味しく見せるための発色の良い色味に注目してデザインした。収納の役割だけでなく空間を
彩るインテリアとしてのネット。空間のアクセントにもなり、日常の生活用品も、入れることでオブジェのように感じられる。今までとは違う新鮮な農業用ネットのあり方。

Net

講評

みかん農家が実家という応募者の着眼点に秀でた作品。農業用棒ネットの強度、伸縮性、鮮やかな発色を活かした網の器は、食材や日用品を容れたり、草花を生けてみたり、明るく軽やかで柔軟なデザイン&ユーティリティが高評価を得た。商品化した場合、コンパクトに畳んでのパッケージングが製造加工面で可能かどうかが審査の論点に。

 

ハーパーコリンズ・ジャパン
シニア・エディトリアル・ディレクター
濱口重乃

優秀賞

Overflow!?

oodesign 大村 卓

oodesign 大村 卓

泡のようなかたちのボトルストッパーです。ビンからあふれているように見えて実はあふれるのを防いでいます。シュワシュワ感がたっぷりとした瞬間を切り取ったものなので、いつまでもおいしそうな感じを演出してくれます。炭酸飲料以外に使っても意外性があって楽しめるかもしれません。

Overf low!?

講評

酒を飲むなら“泡”がいい。中でもシャンパンやフランチャコルタといった“泡モノ”ワインには垂涎です。ところが、“泡モノ”に合ういいボトルストッパーは意外に少ない。この「Overflow!?」はまるで泡が溢れるようにデザインされたユニークな作品。ホームパーティに現れたら、ちょっとしたネタになること間違いなし。さりげなく気の利いたデザインなのです。

 

Pen編集長
安藤 貴之

優秀賞

ギオンロック

yonanp(筆谷 直揮 & 三宅 諒)

yonanp(筆谷 直揮・三宅 諒)

普段何気なく使っているダイアル式南京錠。語呂あわせで数字を覚えていることに気づき、語呂あわせできる南京錠を提案します。単なる語呂ではなく、擬音に絞ることで、少ない文字数で設定の可能性を広げるとともに、楽しく使って頂けると考えました。自分らしい擬音は、友だちに伝える時に少し笑顔が増えるかもしれません。

ギオンロック

講評

「俺の自転車のロック、ドチポロで開くから、乗ってっていいよ……。なんでドチポロかって? それは俺がドチポロだからだよ。そういうお前はズタボロ?」なんて、どうでもいい想像がふくらみました。愛しい人に「メロメロ」の語呂合わせで贈り物に付けるという真面目な(?)使い方もよし。空想ふくらむ楽しい作品です。

 

デザイン誌「AXIS」統括
石橋 勝利

審査員特別賞
Pen編集長 安藤 貴之

見やすく。抜きやすく。あたらしい毛抜き

yonanp(筆谷 直揮 & 三宅 諒)

yonanp(筆谷 直揮・三宅 諒)

うまく掴めず毛が抜けなかったり、別の毛を抜いてしまった経験を持つ人は少なくありません。この毛抜きは、そうした経験から生まれた新しい毛抜きです。毛をより見えやすくするためシリコンの壁をつくり、また他の毛との区別をすることができるようになっています。ちょっとした不満から生まれた、生活を豊かにするためのアイテムです。

見やすく。抜きやすく。あたらしい毛抜き

講評

日用品にも優れたデザインがたくさんあります。だけど、おしゃれな毛抜きって見たことありますか? 別に毛抜きが美しくなくても構わないですか? デザインの魅力って、潜在的な「欲しかった」に気づかせてくれるところ。愛嬌があって、カラフルで、使いやすそう。人生に不可欠なモノではないかもしれないけれど、こういったデザインが暮らしを豊かにしてくれるはずです。

 

Pen編集長
安藤 貴之

審査員特別賞
デザイン誌「AXIS」統括 石橋 勝利

小物まとめのエリア線

ZHU YIPING(シュウ イヘイ)

kerub + Moo Flat design

玄関に、毎日忘れてはいけない物(鍵、イヤホン、腕時計など)は、まとめて置いておきたい。皿や箱のような立体物は、存在感が強く玄関のバランスを崩しかねない。最小限の存在感で、線のような形の小物入れを提案する。小物をこのエリア内に置く、物を取る時には、開放的で物が見やすく、物忘れを防いでくれる。日常的に物をコンパクトにまとめることを意識化できる。

小物まとめのエリア線

講評

使いはじめはその存在を意識するだろうけれど、だんだんと意識しなくなる。見えているのに見えなくなるはず。そんな作品。最小限の要素で、必要十分な機能を発揮する・秩序を生み出すところがとてもよい。皿や箱でないところがまたよい。玄関とかのあの風景は見飽きましたよね。“はまる”ネーミングがあれば、さらに良かったかも。

 

デザイン誌「AXIS」統括
石橋 勝利

審査員特別賞
日経デザイン編集長 花澤 裕二

Paw-Pad シュニクキュウ

kerub + Moo Flat design (奥野 幹・難波 佳樹・藤澤 由紀・岡部 綾香)

kerub + Moo Flat design

ハンコを押す瞬間、私たちはどれほど穏やかな気持ちでいられたのだろうか?大きな決断の時、人生の転換の瞬間。はたまた職場や日常生活の中のシーンで繰り返される作業の一環であっただろう。少なからず感じるストレス作業に【癒し】の感触をくれる肉球インクパッド。

Paw-Pad シュニクキュウ

講評

この作品を見た瞬間、実際にそれを使っている自分の姿を鮮やかに思い浮かべることができました。ハンコを押すというとても単純な作業に、アイデアひとつで楽しさと彩りを添えてくれる。まさに今回のコンペテーマにぴったりの作品だと思います。分かりやすく可愛いネーミングも魅力でした。

 

日経デザイン編集長
花澤 裕二

審査員特別賞
ハーパーコリンズ・ジャパン シニア・エディトリアル・ディレクター 濱口重乃

Nobories

植南 雄也

植南 雄也

意外と置き場所に困ってしまうトイレットペーパー。上の棚は少し遠いし、そのまま置くのも何だかさみしい。そんな時、Nobories が活躍してくれる!清潔に省スペースでスタッキング出来るのはもちろん、少し退屈なトイレタイムがよりにぎやかに。「あらら。そんなに眺めていたら遅刻しちゃうよ!」なんて声が聞こえてきそう。

Nobories

講評

トイレに収納スペースがない場合、トイレットペーパーの置き場所には意外と困るもの。本作は、愛嬌あふれるシリコン製のヒト形がトイレットペーパーのタワーを登るという楽しげなデザインを通して、“仕舞う”じゃなくて“見せる”トイレ収納を叶えてくれる。「+d」ブランドにフィットするシンプルかつユーモラスな提案が目を引いた。

 

ハーパーコリンズ・ジャパン
シニア・エディトリアル・ディレクター
濱口重乃

審査員特別賞
株式会社JDN 取締役 ブランドディレクター 山崎 泰

Holder × Coaster

松井 日向子

松井 日向子

バーベキューやキャンプ、お花見や花火大会など、外で飲み物を飲む際に紙コップが飛んでしまったり地面に置いた缶が倒れてしまう問題を解決するプロダクトです。素材は柔軟に変形するEVA シートを使用し、野外ではドリンクホルダーとして、自宅ではドリンクコースターとして使用できます。

Holder × Coaster

講評

芝生で気分良く過ごしていて、間違って地面に置いた缶飲料をこぼした経験がある。キャンプや花見以外にも、何となく芝生を訪れて近辺で缶飲料を買うこともあると思う。となると、芝生に行く予定がなくても常に携帯してもらえる存在になれれば、もっと良いのだろう。缶飲料が主役であることを考えると、提案は程よい地味さとも言える。ただ、身の回りのアイテムとして楽しさの演出がもう少しあってよいかもしれない。

 

株式会社JDN 取締役
ブランドディレクター
山崎 泰

総評

まず、400点ものご応募を心より感謝いたします。
そして、真摯に審査をいただいた審査員の皆さまにも感謝いたします。

楽しく・彩りを添える生活用品に対する読み取りのデザイナー視点。思わず「クスッ」としてしまったり、感動してしまったり、やはりデザイナーは素晴らしいと感じます。次は見るだけでなく使えるものにすべくスタッフ一丸となって製品化を進めていこうと心から思いました。

アッシュコンセプト代表取締役
デザインプロデューサー
名児耶 秀美

 

 

約400点もの作品が集まった今回のコンペティション、文字通り「暮らしを楽しくする、彩りを添えるようなアイデア」が至るところに散りばめられていました。「こんなものがあればいいな」という生活者の思いに寄り添って、それを形にするというデザイナーにしかできない役割を、高いレベルで果たしてくれたと思います。

 

日経デザイン編集長
花澤裕二

15年の実績が裏打ちする主催者への信頼と期待。これこそ応募が大量に届いた理由だろう。その提案を見渡すと、問題点の発見・解決方法の提案・生まれる共感について新鮮な気づきが多かった。実は、一次審査では最優秀に投票しなかったのだが、二次審査の討議でその良さを発見することができた。多様な視点の大切さを再認識し、提案の読み取り方にも学ぶところがある審査会だった。参加いただいた応募者の皆さんに感謝するとともに、主催者、審査員の皆さんにも感謝を申し上げたい。

 

株式会社JDN 取締役
ブランドディレクター
山崎 泰