審査員メッセージ-高橋美礼

Mirei Takahashi

高橋美礼
デザインジャーナリスト

多摩美術大学芸術学科卒業、企業勤務を経た後、ミラノ・ドムスアカデミーマスターデザインコース修了。現在は、フリーランスとして国内外のデザインを考察し、書籍や雑誌、ウェブ媒体での執筆、編集を行う。アッシュコンセプトのブランド「+d」では、「TsunTsun」(ソープディッシュ)を宮城壮太郎氏と共同デザインで発表。
多摩美術大学芸術学科非常勤講師。

コンペ応募者へのメッセージ

思わず手にとってみたくなるものには、かならず理由があります。
それはもしかしたら、誰もが頭のなかで想像していたようなアイデアだったり、あったらいいなと考えていた便利な道具かもしれません。けれども、シンプルな発想がたちまち魅力的な存在感を放つようになる瞬間を、見てみたいのです。
常識にしばられずユーモアあふれる、未来の名作との出会いに期待しています。

+dで「ひとめぼれ」したアイテム

初めての「ひとめぼれ」は「アニマルラバーバンド」
最近の「ひとめぼれ」は「カバソープ」

輪ゴムってこんなに楽しくなるんだ! と衝撃を受けた「アニマルラバーバンド」。
アッシュコンセプトの代名詞的なこのアイテムは、もともと、動物の生態を正しく伝えたいというデザイナーの試みから生まれたと聞きました。暮らしのなかで身近なペット、人間の糧にもなる大切な動物、さらには人類の起源まで遡る恐竜、と筋の通ったラインナップの展開にも心が躍らされ、ひとつのラバーバンドが国境を越えて多くの人に届くパワーにも納得です。
そして最近、同じように楽しい驚きを覚えたのが「カバソープ」。
絶滅危惧種のカバの形状を石けんに忍ばせて、使い手まで届けるデザインには優しさがあります。手を洗うたびに少しずつ小さくなって、カバの姿も変わっていく刹那的なところにも、地球環境への無言のメッセージを感じ取らずにはいられません。

Animal Rubber Band

Kaba Soap

審査員メッセージ-高橋美礼